「個人情報の保護に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」及び「個人情報の保護に関する法律施行規則(案)」に関する意見募集について」の紹介その2です。今回は政令・規則案の内、要配慮個人情報についての部分です。同パブコメの政令案の内容については、先の記事をご覧ください。
要配慮個人情報の定義についは、その1で、紹介しました。この要配慮個人情報の概念は2015年改正法で新たに設けられた概念で、この概念に該当する個人情報について下記のとおり一定の例外事由に該当しない限り、取得してはならないという規定(改正法17条2項)が設けられています。これまで、取得の場面では、適正な取得(個人情報保護法17条)しか規制がなかったことことに比べると大きな変更ということになります。また、第三者提供のうち、いわゆるオプトアウトによる提供から除外されています(改正法23条2項)。
2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
1.法令に基づく場合
2.人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
3.公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
4.国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
5.当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、第76条第1項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合
6.その他前各号に掲げる場合に準ずるものとして政令で定める場合
まず、改正法17条2項6号の政令で定める場合については、下記のとおりで、該当すれば、同意なしに要配慮個人情報を取得できます(政令案7条)。
第7条(要配慮個人情報を本人の同意なく取得することができる場合)
法第17条第2項第6号の政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
1 本人を目視し、又は撮影することにより、その外形上明らかな要配慮個人情報を取得する場合
2 法第23条第5項各号に掲げる場合において、個人データである要配慮個人情報の提供を受けるとき。
政令案の1項は、例えば、本人に身体障害等がある場合には、その姿態に関する情報は外形上明らかな要配慮個人情報になると思われますが、その方を撮影する際に本人同意が必要だとすると、防犯カメラ等で撮影することについても本人同意が必要になると思われますが、本政令案で、同意が不要となります。
指令案の2項は、要配慮個人情報であっても改正法の23条5項各号に該当する場合、すなわち、委託、合併等、共同利用による提供の場合は、本人同意が不要になると言うことです。人事・労務関係の情報には、要配慮個人情報が含まれていますが、委託、共同利用による提供の場合は取得に本人同意が不要となるので(もちろん、当初の取得時には本人同意が必要となりますが)、実務上よく使われる例外でしょう。
次に、規則は、改正法17条2項5号の下線部の部分を定めたもので、例外的に同意なしに取得できる要配慮個人情報を定めています。
第6条(法第17条第2項第5号の個人情報保護委員会規則で定める者)
法第17条第2項第5号の個人情報保護委員会規則で定める者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。
1 外国政府、外国の政府機関、外国の地方公共団体又は国際機関
2 外国において法第76条第1項各号に掲げる者に相当する者
規則6条の1項は、外国政府等が該当すること、2項は、法第76条第1項各号、すなわち、報道機関(1号)、著述を業として行う者(2号)、学術研究を目的とする機関・団体等(3号)、宗教団体(4号)、政治団体(5号)のことなので、外国におけるこれらに相当する者については、要配慮個人情報の取得について同意が不要となります。