本年(2009年)の著作権法改正についての情報が文化庁のサイトに掲載されています。
今回の改正では、IT、ネット関連の改正が盛り込まれており、IT・ネットビジネス関連の事業者にとっては、きちんと内容を押さえておくべきでしょう。今後、改正内容について、個別に触れていきたいと考えています。なお、今回の改正法の施行日は、原則として平成22年1月1日です。
主な改正項目としては次のとおりですが、ビジネスの上では、検索エンジンが収集する著作物について、無許諾で利用すること等を認めている(1)の著作物利用の円滑化に関する改正点が重要です。なお、検索エンジン事業者の定義等は政令で定めることとなっており、現在のところ政令が公布されていませんので、検索エンジン事業のうちどのようなものが著作権法で権利制限されるのかは今のところよくわかりません。
(1) インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための措置
- インターネット情報の検索サービスを実施するための複製等に係る権利制限(第47条の6)
- 権利者不明の場合の利用の円滑化
? 著作隣接権者不明等の場合の裁定制度の創設(第103条)
? 裁定申請中の利用を認める新制度の創設(第67条の2及び第103条) - 国会図書館における所蔵資料の電子化(複製)に係る権利制限(第31条第2項)
- インターネット販売等での美術品等の画像掲載に係る権利制限(第47条の2)
- 情報解析研究のための複製等に係る権利制限(第47条の7)
- 送信の効率化等のための複製に係る権利制限(第47条の5)
- 電子計算機利用時に必要な複製に係る権利制限
(2) 違法な著作物の流通抑止のための措置
- 著作権等侵害品の頒布の申出の侵害化(第113条第1項第2号)
- 私的使用目的の複製に係る権利制限規定の範囲の見直し(第30条第1項第3号)
(3) 障害者の情報利用の機会の確保のための措置
- 障害者のための著作物利用に係る権利制限の範囲の拡大(第37条第3項,第37条の2)