本記事の投稿後に、平成27年1月に営業秘密管理指針が全面改訂され、平成28年2月には、「秘密情報の保護ハンドブック」が公表されています。
最近の営業秘密関連の動向については「営業秘密をめぐる紛争、最近の傾向とその対応」の記事をご覧ください(2016年8月10日追記)。
営業秘密管理指針(平成22年4月9日改訂版)が公表されました。
経済産業省のサイト
パブリックコメントの結果概要についてはこちら
同サイトによりますと
「「営業秘密管理指針(改訂版)」では、改正不正競争防止法において刑事罰の対象とされた行為の明確化を行うとともに、事業者の実態を踏まえた合理性のある
秘密管理の方法を提示しつつ、中小企業者等の利便に資するチェックシート、各種契約書の参考例等の参照ツールを掲載しております。」
ということです。
また、チェックシートについては、
「裁判例に現れた事実関係を本チェックシートに当てはめてみると、得点が高くなるにつれて秘密管理性が肯定される割合も高くなり、40点以上にある場合にはおおむね秘密管理性が肯定される傾向にあることがうかがえる(なお、40点に満たない場合には秘密管理性が否定されるというものではなく、40点未満の得点であっても秘密管理性が肯定された事例は相当数認められる。)」
とされており、一度自社でどのような点数になるのかをチェックしてもいいかもしれません。
なお、各種契約書も参考例が示されていますが、当然ながらカスタマイズは必要でしょう。特に規程上の「営業秘密」の定義を法律の営業秘密と一致させるのはあまり得策ではないでしょう。
管理指針本体については、裁判例の部分がかなり整理されており、読みやすくなっています。
ただ、指針でも再三触れられていますが、裁判例は総合的な事情を考慮して営業秘密か否かを判断しており、具体的な管理体制を構築する上では参考にならない部分が多いと思います。また、裁判例自体も組織的な管理を強く要求するものとそうでないものが混在しており、管理体制構築の上では裁判上の営業秘密の概念に拘泥するのは得策ではないでしょう(特に中小企業の場合には)。
この点、営業秘密に関する判決例の動向については近藤岳「秘密管理性要件に関する裁判例研究 裁判例の「揺り戻し」について」(知的財産法政策学研究Vol.25)が参考になります。
下記サイトで参照できます。
http://www.juris.hokudai.ac.jp/coe/pressinfo/journal/index.html